転職してフリーランスになることを目指している方にとって、退職後に失業保険の受給の有無は気になりますよね。転職先がフリーランスでは失業保険の受給は対象外だと思われがちですが、実は一定の条件を満たすことで受給が可能になるのです。
失業保険の基本情報や受給方法などを把握しておくことで退職後の不安解消にも繋がり、より事業の準備に専念することができますよ。転職後フリーランスになることを考えているのであれば、失業保険を受給するためにどのような手続きが必要なのか事前に把握しておきましょう!
転職後フリーランスになる前に…失業保険の基本情報や対象を理解しよう
必要条件を満たせば退職後に給付される失業保険ですが、実際にはどのような保険なのでしょうか?転職後フリーランスになる前に、失業保険の内容や手当について理解しておきましょう!
失業保険の内容と基本手当について
失業保険とは就業中に雇用保険に加入していた場合、退職後に受給要件を満たすと受け取れる手当のことです。
基本手当の支給を受ける日数は離職の日における年齢や雇用保険の被保険者であった日数、離職理由などによって決定され、90日〜360日の間で決められます。
【参考: 厚生労働省「基本手当について」】
一般的な失業保険の給付対象
・ハローワークで求職の申し込みを行い、積極的に就職活動をして働く意欲がある
・雇用保険の被保険者期間が過去2年間の通算で12ヶ月以上ある(会社都合などやむを得ない理由で離職した場合、過去1年間で通算6ヶ月以上)
妊娠、出産、育児、怪我や病気など、すぐに働くことのできない事情がある方は対象外になるので注意しましょう。
【参考:ハローワークインターネットサービス 「基本手当について」】
【重要】転職してフリーランスになる場合…失業保険を受け取る方法は?
転職後フリーランスになろうと考えている方は失業保険を受給できないと諦めてしまいがちですが、一定の要件を満たせばフリーランスであっても受給は可能です。どのような要件なのか把握しておきましょう!
フリーランスが失業保険を受け取る方法
・事業を開始した日の前日までの失業認定を受けた上で、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上であること
・事業の開始にあたって自立することができると認められるものであること
・待機期間を経過した後に事業を開始したこと
・離職理由から給付制限を受けた場合、最初の1ヶ月が経過した後に事業を開始したこと
・過去3年以内の就職で、再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けてはいないこと
この要件を満たす方が失業保険を受け取ることができます。
フリーランスの失業保険手続き方法
①受給資格決定を受ける
…ハローワークに離職票を持って行き、受給資格資格を得るための手続きを行いましょう。
②7日間の待機期間
…待機期間に事業を始めてしまった場合は基本手当も再就職手当も受給できなくなってしまうので注意しましょう。
③職業講習会に参加する
…職業講習会に参加することで求職活動を行ったこととなるので、失業認定を受ける要件を満たすことができます。
④雇用保険説明会に参加する
…職業講習会とは別の日程で失業保険に関する説明会が開催され、この説明会に参加することで雇用保険受給資格者証がもらえることになります。
⑤初回の失業認定を受ける
…受給資格認定日から約4週間後にハローワークへ行き、1回目の失業認定を受けます。失業認定を受けるには求職活動等が必要になりますが、職業講習会に参加していればこの要件はクリアになります。
⑥開業届を提出する
…7日間の待機期間を経過した後さらに1ヶ月を経過した日以降に開業届を税務署へ提出します。
⑦再就職手当の受給手続きを行う
…税務署で受け取った開業届の控えを持参し、ハローワークで再就職手当の手続きを行います。再就職手当は事業を開始した日が早いほど金額は大きくなるので、早めに手続きをした方が良いでしょう。
受給できない場合とは?
・離職前2年の間、被保険者期間が12ヶ月に満たなかった場合
…失業保険の受給資格には被保険者期間が関係してくるので、離職前2年の間に被保険者期間12ヶ月以上であることが必要になります。
・虚偽申請を行った場合
…失業保険の受給中にアルバイトやパートをすると申告する必要があるので、申告漏れや虚偽の申告を行うと不正受給となり、支給が停止され不正に受給した金額の3倍を納付しなければならない場合もあるので注意が必要です。
・求職活動を行っていない場合
…失業認定を受ける際、求職活動実績が必要になります。就職する意志がないとみなされると給付対象外となるので注意しましょう。
転職後にフリーランスになるなら!失業保険だけでなく準備を大事にしよう
転職後フリーランスになり失業保険を受給する場合、受給中の勤労や開業届を出すタイミングなど、気をつける点を事前に確認して準備をしておきましょう。
フリーランスになる前の準備期間を大切に
待機期間ではどのような理由で離職した場合でも適用されてしまうため、この期間中に開業届を提出すると失業手当は受給できなくなってしまいます。
また、事業のために新たに事務所や店舗を借りると賃貸借契約の締結日から事業の開始や準備をしていることになる場合や、商品の仕入れや取引先との契約を結んでしまった場合も事業の開始とみなされてしまうので注意しましょう。
失業保険だけでなくデメリットに対する備え
転職後、フリーランスになるのであれば、失業保険だけではなく交通費の支給や住宅手当、家族手当、資格取得支援、健康診断や人間ドッグの補助などの法定外福利厚生も受けられなくなります。
転職後にフリーランスになることで、失業保険だけではなく思わぬ負担が生じる可能性もあることを認識しておくことが大切です。
フリーランス向けの保険も検討しよう
フリーランスは保険を自身で選んで加入する必要があるため、自分の業種や必要性に合わせた保険を選ぶことが大切です。保険によっては独自のサービスを豊富に展開しているものや、フリーランスの活動を後押ししてくれる保険もあるので、国民健康保険への加入を検討する前にサービス内容や保険料などを比較して選びましょう。
【参考:フリーランス協会「フリーランスの保険」】
まとめ
転職をしてフリーランスになろうと目標を持って退職したとしても、安定した収入が入るまでは失業保険を受給したいですよね。フリーランスでも一定の要件を満たすことで失業保険を受け取ることができます。
要件を満たし手続きを行うことで受給は可能ですが、開業届の提出や事業開始のタイミングに気を付けなければ、受給できなくなってしまうので注意しましょう。また、失業保険の他にもデメリットに対する備えや、自分に合ったフリーランス向けの保険の準備を事前に行うことで、転職後もフリーランスとして安定した生活を送ることができますよ。
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